INTERVIEW
インタビュー
腎臓内科医を知れば知るほどわくわく。多様性が活きた先輩たちの働き方を、1 日の流れを通じて紹介します。
蓬田 大地
よもぎだ だいち
金沢大学附属病院 腎臓内科 医員
2017年卒
オールラウンドで患者さんに向かう
入局前の私は腎臓という臓器の凄さも,腎病理の美しさも知りませんでした.緻密な身体診察と丁寧な検査所見の解釈で診断を下し,外来,病棟,ICU,救命センターとオールラウンドで患者さんに向かう,指導熱心な腎臓内科医の姿に純粋に憧れを抱きました.研修病院の腎臓内科は誰が決めた訳でもないのに定期的に全員でランチをしていました.腎生検や重症患者が来た際は全員が自然と集結していました.そんな雰囲気が心地よく,腎臓内科入局を決めました.入局して3ヶ月が経った頃,小児のアフェレシス治療を経験しました.指導医とともに治療を行い,救命し得た喜びは忘れられません.透析を導入したことで社会に戻っていく患者さん,診断に至ったことで長年の関節痛のコントロールがつき始めた患者さん.短い腎臓内科生活の中でも充実したたくさんの経験に恵まれました.まだまだあの憧れた姿には程遠く,本当の意味で腎臓の凄さや腎病理の美しさを語ることはできませんが,腎臓内科を選んだことは大成功でした.一緒に腎臓内科で頑張りませんか?
一日の流れ
- 8:00 出勤、病棟回診
- 出勤,病棟回診
まず朝一番に病棟の患者さんを回診します.ローテートしている研修医の先生と一緒に処方や指示の確認,検査オーダー等を行います.
- 9:00 外来 or 透析室業務
- 外来日は腎臓内科として腎疾患,電解質異常,高血圧,膠原病の外来を担当します.健康診断で指摘された蛋白尿,高血圧の他,関節痛や不明熱等の幅広い鑑別を要する症例が多いのが特徴です.他科からのコンサルテーションも多くあります.外来のない日は透析室業務です.透析患者の診察,処方だけでなく,透析用カテーテル挿入等の手技も頻繁にあります.アフェレシス治療も腎臓内科の守備範囲です.
- 12:00 お昼休憩
- ローテート中の研修医の先生と一緒にご飯を食べます.
気付けば腎臓内科が集まっていることも.この場で症例について相談することもあります.
- 13:00 救急当番 or 病棟業務
- 地域救命センターの内科系救急担当が週に2回(半日のみ)あります.地域の中核病院においては腎臓だけでなく”内科医”としての役割も重要です.身体所見,検査所見を深く見ることをトレーニングしているので,救急外来でも大きな強みになります. 救急当番のない日は病棟での胸水穿刺やカテーテル挿入等の手技をこの時間帯で行います. 腎生検も月に2件程度あり,午後に腎臓内科全員で行っています.指導医のもと,実際に私も腎生検をしています.
- 17:00 内科カンファレンス
- 毎週火曜日は夕方に内科カンファレンスがあります.症例提示を行い,今後の方針ついて内科全体で話し合います.この他に腎臓内科だけのカンファレンスを定期的に行っています.気軽に症例について相談できる場でありながら,熱い議論が行われます.
大島 恵
おおしま めぐみ
金沢大学附属病院 検査部 特任助教
2010年卒
腎臓内科の奥深さに圧倒され、やりがいを感じる日々
腎臓内科には、全身を診られる内科医になりたい、医師として人間として憧れる指導医がいる、研究・留学する体制が整っている、という理由から決めました。5年目までは臨床を通して知識や経験が増えることが楽しく、時間があれば病院で過ごしました。その後出産、育児を経て、外来や透析を中心に臨床に携わり腎臓専門医を取得しました。腎臓内科の診療は腎臓病、膠原病、透析など多岐にわたり、女性がライフステージに応じた働き方を選択し活躍できる場が多くあります。また腎臓病で苦しむ患者さんをなくしたい、という思いから大学院に進学し、慢性腎臓病の病態解明と治療に関する研究に取り組んでいます。9年目には医局の先生方のご支援のもと、オーストラリアのジョージ国際保健研究所に研究留学させていただきました。大規模臨床試験のデータ解析に携わり、帰国後に研究成果を新聞に取り上げていただいた時は大変励みになりました。12年目を迎える今でも腎臓内科の奥深さに圧倒され、やりがいを感じる日々です。また臨床、研究、教育、育児すべてが一人の力で成り立つわけはなく、上司や同僚、家族の理解と支援が得られる環境に感謝しています。興味のある方はぜひ見学に来てください。
一日の流れ
- 8:45 透析室回診
- 大学病院には入院中の透析患者さんが多く、診療科医師と薬剤の投与量や栄養について相談しながら、患者さんが万全な状態で検査や治療に臨めるようサポートします。
- 9:00 病棟回診 or 外来
- 曜日毎に診療業務の担当が決められています。学生の臨床実習では、患者さんの診察や検査所見を確認して診断や治療方針を一緒に考え、希望に応じて尿沈渣や模型を用いた超音波ガイド下の血管穿刺などの実習を行います。
- 12:30 昼食
- 同僚と雑談をしながらほっとできるひと時です。
- 15:00 腎生検(週1)
- 複数の医師で超音波ガイド下の腎生検を行います。
- 16:00 腎臓内科カンファレンス
- 曜日毎に入院症例や腎生検症例、透析症例のカンファレンスが開かれます。腎臓内科全体で情報を共有し、診断や治療方針の最終決定を行います。
上川 康貴
かみかわ やすたか
福井県済生会病院 内科医長・透析センター長
2008年卒
内科医の素養を基盤に、医学知識のブラッシュアップと基礎医学への造詣を深める
本サイト掲載の若手医師キャリアパスで提示されるところの「1年毎に市中病院を異動」の期間に関わっています。大切にしていることは“問診・診察から鑑別を置く”、“検査計画を経てる“、“結果を解釈し、診断に至る”、“治療法を提示する”、“診断を省みる”という、内科医の素養です。内科医としての医療業務をこなす一方で、医学知識をブラッシュアップする姿勢や、基礎医学への造詣を深める事も重視しています。その一貫として、シフト制や代診制を取り入れ、就労しながら医学博士を目指す社会人大学院生の受け入れにも対応しています。また、専門医(腎臓専門医、透析専門医、リウマチ専門医、血漿交換療法専門医)取得に遜色ない多数の症例経験を約束します。
一日の流れ
- 07:45 病棟回診・指示出し
- 病院食を通じて患者と認識共有。「しょもない!(味気ない!)」も大切な感想です。患者の体調がおかしければ、検査や治療をスタッフへ指示。患者のためにも効率が良いチームであるためにも、医師は適切・明解な指示を迅速に!
- 09:00 腹膜透析外来
- 地理的問題から通院時間が1時間を超える方が多々います。週3回の血液透析は、患者にとっても介護者にとっても大きな負担。腹膜透析であれば通院は月1回。かかりつけ医や訪問看護ステーションとの連携を模索中
- 12:00 お昼休憩。
- 医局にはエスプレッソマシンが配備。もう自販機には戻れない。
- 13:00 Web面談・Web会議
- 地域医療を行っていくうえでは、「顔がみえる診療」が大切。多職種と分け隔てなく連携を深めていく時間として継続していきたい。
- 14:00 腎生検
- 「腎生検を行える」「結果の解釈が出来る」は内科系腎臓専門医必須スキルです。
- 15:00 症例検討会
- 入院症例全例、他科からの相談例、維持透析例(病態・社会背景など)
- 17:15 終業。
- 自学習を30分ほど