CLINICAL
臨床
金沢大学腎臓内科では、腎臓を通じて全身を総合的に診ることで、ひとりひとりの患者さんに寄り添った医療を提供します。
また、臨床からの小さな「疑問」や「気づき」を大切にし、それらを臨床研究へ活かすことで社会への貢献を目指します。
REGION
腎臓内科の領域
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腎臓内科は救急疾患や集中治療などの急性期から、慢性透析や長期罹患が多い膠原病診療などの慢性期に至るまで、幅広い分野で活躍の場があります。腎臓は、「心腎連関」「腸腎連関」「脳腎連関」といった言葉があるように、他の臓器と連携しながら全身のバランスを司る臓器です。腎臓内科でも他科や他職種と連携をとりながら患者さんへ最善を尽くします。
患者さんが違えば症状、重症度、治療法や予後も多種多様です。臨床カンファレンスでは、若手医師からベテラン医師まで分け隔てなく患者さんの病態についてディスカッションを進めます。多方面から意見を交わしながら、ひとりひとりの患者さんへより良い医療の提供を目指します。
研究についての詳細はこちらINVOLVEMENT
腎臓内科と他の領域の関わり
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腎臓学
腎臓は、水・電解質や酸塩基平衡の調整、尿毒素物質の排泄、内分泌代謝など体にとって重要な働きを行っている臓器です。腎臓の異常は、単に腎臓だけにとどまらず、全身の多様な臓器と連関しており、膠原病、悪性腫瘍や感染症などといった疾患・病態を総合的に考え、治療を行う必要があります。また血液浄化療法や腎移植をはじめ、急性期から慢性期まで携わり、全人的な医療を行うことができるのか、腎臓内科学の醍醐味です。
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膠原病領域
膠原病は、自己免疫機序により全身の臓器に多彩な障害をきたし、腎臓においてもネフローゼ症候群や急速進行性腎炎症候群などの多彩な病状を認めます。臨床症状や経過、臨床検査や腎生検などにより、腎臓のみならず連関する臓器や病態を総合的に診て、個々の患者さんに合った医療を行っています。また必要な場合には、薬物療法のみならず、アフェレシス療法といった腎臓内科の強みを生かした治療を積極的に行っています。
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血液浄化療法
(透析/アフェレーシス)(透析療法)患者さんが末期腎不全になった場合、腎臓の代わりとなる治療(腎代替療法)を必要とします。腎代替療法には血液透析、腹膜透析、腎移植があります。わが国では血液透析導入患者が最も多く、約34万人が慢性維持透析をしています(2020年末)。腎臓内科では、患者さんが主体的に腎代替療法を選択できるよう、他職種と連携しながら患者さんに情報を提供します。患者さんの病態だけでなく、ライフスタイルや価値観に合わせた治療選択の手助けをします。また、透析導入後もブラッドアクセスの管理や、末期腎不全の合併症の管理を行います。腹膜透析の導入も積極的に行っています。 (アフェレシス療法)は血液の対外循環により病気の原因となる物質(抗体やサイトカイン)を取り除く治療で、単純血漿交換、血漿吸着療法、腹水濾過濃縮再静注療法などがあります。腎臓内科では積極的にアフェレシス療法に取り組んでいます。アフェレシス療法は神経疾患、血液疾患、消化器疾患など幅広い分野で適応があり、他科と連携しながら治療を行います。
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移植領域(腎移植)
本邦の腎臓移植の数は、生着率の改善と共に急速に増加しています。腎臓内科ではドナーやレシピエントの移植前精査を行い、泌尿器科医師と相談して移植の適応を判断しています。透析が必要な患者さんには術前の透析管理を行います。移植術後は急性期の拒絶反応や術後合併症のリスクが低下した後に、腎臓内科にて免疫抑制療法の管理を継続します。退院後の維持期においても、免疫抑制療法の管理や感染症など合併症への対応、また高血圧、貧血など腎臓病の合併症の管理を行っています。
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感染症領域
腎臓領域では、IgA腎症やMRSA腎炎など感染症を契機とした疾患に携わります。また、敗血症では高頻度に急性腎障害を発症し、厳密な循環管理や電解質管理を必要とします。腎臓内科では、このような状態の悪い患者さんの全身管理にくわえて、血液持続濾過透析療法やエンドトキシン吸着などの血液浄化療法、腎機能に応じた薬剤の調節といった腎臓に特化した治療も行います。さらに、感染制御部には腎臓内科からスタッフを派遣しており、スムーズな連携体制が整っています。
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救急/集中治療領域
重症患者では、急性腎障害(Acute Kidney Injury;AKI)が高頻度に発症し、AKIの発症・重症度は腎予後・生命予後・入院期間などに大きく影響します。また腎臓は、心臓、肝臓、肺、腸管など多臓器連関にも深く関与します。そのため救急集中治療領域におけるAKIの適切な管理は、短期的には生命の維持、長期的には後の患者さんの健康に大きく関与します。我々腎臓内科は、救急・ICU部門へ定期的に専任スタッフを置き、治療に当たっています
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悪性腫瘍領域
Onconephrology悪性腫瘍の管理において、悪性腫瘍および投与薬剤に伴う腎機能障害、腎機能に併せた抗がん剤の選択・投与など、腎臓病に関する知識が重要です。腫瘍学(Oncology)および腎臓病学(Nephrology)に関する領域としてOnco-Nephrologyがあり、ホットな領域として注目を集めています。我々、腎臓内科も各診療科と連携をとりながら、悪性腫瘍の治療をサポートしています。
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臨床検査
臨床検査には主に検体検査(血液や尿検査など)や生理検査(心電図や超音波検査など)が含まれ、通常の検査業務は臨床検査技師が行っています。臨床検査における医師は、検査技師と協力して的確かつ迅速に臨床検査が行われるよう検査室を管理し、各診療科医師と相談して診療に役立つ検査体制を整え診療業務の支援を行うことで、検査室と臨床を繋ぐ架け橋となる役割を果たしています。また検査技師と共に、心臓超音波所見と腎機能低下との関連や、腎不全のマーカーとなる新しい検査の開発や有用性の検証など、日常業務から生じた疑問を元に研究を行い、研究成果を学会や論文で報告しています。
CLINICAL
PERFORMANCE
臨床実績
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腎生検件数
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透析導入件数
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腎移植件数
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アフェレシス治療件数
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腎不全教育入院件数